大会報告のpdfファイル | 33-houkoku.pdf |
第33回水郷水都全国会議in朝倉・久留米大会報告第33回水郷水都全国会議in朝倉・久留米大会は「九州北部豪雨に学ぶ減災と復興〜自然、文化とともに暮らしを取り戻すには〜」をテーマに、2018年4月21日から22日にわたって朝倉市、東峰村、久留米市で開催された。参加者は現地見学50名、懇親会58名、全体会101名、のべ209名を数えた。 2017年7月の九州北部豪雨災害は、「線状降水帯」が発生し24時間雨量1,000mmを越える雨が20km区間の狭い地域に降ったことで、山林の崩壊、ため池の決壊、土砂1,000万m3、流木21万m3の流出などがあり、それらは山地集落だけでなく、平地の住宅街も破壊し、地形さえも変えた。死者40名、行方不明2名にのぼり、道路や橋、久大本線やJR日田彦山線の鉄道が寸断され、集落の多くが情報もなく長時間孤立した。 今回の大会は、山あいの小川ともいえる中小河川で一瞬にして発生した土石流・流木に襲われた被災地を自分の目で見て、復興と減災の方向性を見出したいという全国からの呼びかけで、急遽開催された。 2日目のシンポジウムでは、災害発生直後から支援団を結成し、地域住民とともに災害調査と復興支援に取り組んできた島谷幸宏氏(九州大学大学院工学研究院教授)による基調講演「九州北部豪雨を受けて」があり、被災状況や復興への取り組み、災害の歴史的視点、地理的視点、森林政策的視点、被災地ボラティアの視点からの7名の報告を受けた。また、沖縄、諫早、石木ダム(長崎県)からは、住民の声を反映しない公共事業の現状が報告された。 近年、常態化した異常豪雨による大災害は全国どこででも起きうると言える。朝倉市では渇水で水位が低かったこと、最高水位達成後に降雨が無かったことからかろうじて洪水調節を切り抜けたダムや新たな川が出現するなどハード整備には効果と限界があることが示された。流木被害の軽減など「減災」に軸足を置いた森林政策への転換が急務であること、災害時には情報が遮断される事態や避難勧告が間に合わず集落が孤立することに対して対策が必要なことを学んだ。 一方、行政(公助)と住民(自助)のみでなく、地域に根ざした九州大学や久留米大学の被災地支援、災害・農業ボランティア活動、強い地域コミュニティとして事前の避難訓練、避難時の声かけ、研究者も加わった集落会議など、「共助」に今後の気候変動に立ち向かう減災力があることが示された。 また、今回の現地見学会はまさに百聞は一見に如かずで、報道等では理解できない体験・学びがあり、非常に有益であったとの意見が出された。 自然と文化がともにある暮らしを取り戻すには、生活基盤の早期の復興と、相互に支えあい、みんなで知恵を出し困難を解決していくという「共助」の継続を確認し、大会報告とする。 2018年4月22日 第33回水郷水都全国会議in朝倉・久留米大会参加者一同 |
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