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第22回水郷水都と全国大会・大阪大会
会場写真と大会宣言


大会宣言

 水とともに生きる都市、水の都の再生をテーマに、15年ぶりに大阪は淀川の支流・大川河畔の天満橋で大会を開催し、計225名の参加を得た。都心を流れる大川、市役所や中之島公会堂を背に水上バスが下っていく景観は、全国に水都多しといえども、大阪しかないものである。しかし、現実にはコンクリートで護岸され水辺にも降りられず、水質改善も進んでいない。大阪都心部の川には道路に覆われ、暗渠化しているところが多く見られる。春ともなれば桜並木が微笑む大川も、課題が山積しており、韓国の清渓川再生事業に学ぶところが多くあることを身にしみて感じることができた。
 また、市民、研究者、企業、行政そして労働組合が、山から海に至る人と水のかかわり方について、さまざまな角度から議論をおこなった。だし汁文化をテーマにした議論では、いい水からおいしい食べ物と素晴らしい食文化が育まれることが語られ、水をもっと美しくと川に目を向けるようになったきっかけが、世界最大級の水上祭、天神祭であることが語られた。
 共同開催となった第3回市民による日本水フォーラムにおいては水の商品化が大きなテーマとなった。水質基準が水道水より甘く、価格が1000倍、製造とリサイクルに大量のエネルーが必要なボトル・ウォーターが急速に普及していることに焦点をあてた議論では、全国各地で環境を破壊し、危険をおかしてつくられたダムの水は使われず、このことが原因で水道料金が引き上げられ、また老朽化した施設更新も立ち行かなくなっていることが明らかになった。
安くて、安全で、安定した公的な水道を守るのか、放棄するのかが今問われているという局面に来ている事実をほとんどの市民は、知らないのである。一方で、水道事業に携わるものは日本の水道水が世界一安全であり、市民は飲用していると思い込んでいることもわかった。
分科会では、地下水、海岸浸食、ダム、河川管理、排水処理をテーマに熱い議論が交わされた。
ここでは、地下水、湧水など人類だけでなくあらゆる生き物の共有財産である水が商品化され無秩序的に使われていることに無頓着であり、ルール化が必要な時期にきていることが明らかになってきた。
美しい風景の一つである「白砂青松」が全国で失われつつある。山林や耕地の荒廃、川を堰きとめるという行為が、土砂供給の減少、堆積と浸食のアンバランスを招き、汀線が後退していること。水棲動物の生態系だけでなく、人の生活を脅かしだして大変なことが起きていると、知ることになった。
利便性や経済性を優先してダムは造られてきた。大滝ダムの地すべりが起こったとき、イタリアで2000人を超える命を奪ったヴァイオントの悲劇を連想した日本人は何人いたのか。自然に対する取り返しのつかない負荷を与えたことが明らかになったとき、大惨事が起きた時にならないと、造らなければよかったとなりかねない事態は、避けなければならない。
水を汚すこと、そして汚した水について私たちは余り気を使っていない。一方で、汚された水をできるだけ、費用をかけずに自然に近い形で処理する地道な研究もすすんでいる。
自然を生かした水循環を取り戻すための取り組みに、いよいよ行政が本格的に動き出した。琵琶湖・淀川再生プロジェクトに市民は関心を持ち自らのことと考えて行動すれば、行政をコントロールできるはずである。
私たちは、水について自ら関心があること、仕事で携わっていることについてはよく知り、行動している。山から海の水の循環の大切さもよく理解しているつもりである。
しかし、知らなければいけないこと、行動しなければいけないことが、まだまだたくさんあることを本大会で私たちは学び、そしてさまざまな立場の人と出会い語り合うことができた。
私たちは、健全な水循環を取り戻すために、本大会で学び経験しことを生かし、お互いに助け合い、励ましあいながら行動することをここに宣言します。

2006年9月18日 第22回水郷水都全国会議 大阪大会

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