第23回水郷水都全国会議、松江大会
開催趣旨
○開催趣旨
水郷・水都全国会議は、琵琶湖で開催された世界湖沼環境会議(1984(昭和59)年滋賀県主催)から生まれ、
その第1回大会が、1985年、宍道湖畔の松江市で開催されました。その後、全国大会は、毎年、各地を巡って開
催され、湖、川、湧水、湿原の保全や、人と水とのかかわりなどについて交流を深め、多くの成果を積み上げ
てきました。
第1回大会以降、宍道湖・中海の干拓・淡水化事業は、水環境などに及ぼす影響を懸念する住民の環境保全運動
によって中止され、宍道湖・中海がラムサール条約の登録湿地になるなど、大きな変化を遂げてきました。
日本における水郷・水都の保全と再生の象徴的存在となった宍道湖・中海に、再び水郷・水都全国会議を招致し、
あらためて「人と湖の共存を求めて」をテーマとして、今年5月26日、27日に開催することとしました。
水郷・水都の保全と再生運動の新たな発展を期して開催される、第23回水郷・水都全国会議・松江大会は、
二つの課題を追求していきます。
第一に、20余年に及ぶ全国的な運動の成果と到達段階を確認し、当面する課題を整理するとともに、これから
進むべき基本的方向を明らかにすることです。これまで、全国各地で環境保全に取り組み、環境保全と住民参
加を明記した新河川法の制定などに大きな成果を挙げてきました。しかし、今また、地域格差に苦しむ地方で
は環境破壊型開発計画が息をふき返し、市民参加の新しいあり方として注目された淀川水系流域委員会が政府
判断によって一方的に休止されるなど、環境政策の後退現象も見られます。これらの新たな状況を分析し、
今後の方向性を定めることは、今大会の重要な課題です。
第二に、開催地となる宍道湖・中海地域の環境再生型の発展戦略を議論することが、もう一つの重要な課題です。
宍道湖・中海がかつての豊かな湖を取り戻すためには、なお解決すべき課題が少なくありません。その主な課
題は、湖の水環境改善、漁業の振興、湖を活用した地域振興、水辺文化に根ざしたまちづくりなど、誇りを持
って次世代に伝えることのできる水郷・水都づくりです。また、流域と湖畔における住民、事業者、行政など
の環境意識の向上、及び環境保全運動の継承と発展も、今大会の重要な課題です。
第23回水郷・水都全国会議・松江大会が、全国各地の取り組みを活き活きと伝えあう交流と討論の場となり、
将来に希望の持てる水郷・水都づくり運動を大きく発展させるための飛躍の機会となることを期待します。
全国と地元から、多くの皆さまのご参加を歓迎します。