第31回水郷水都全国会議in沖縄・名護大会
2015年7月18日(土)〜19日(日)
大会テーマ:海は誰のもの
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第31回水郷水都全国会議in沖縄・名護
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(開催目的)
豊かな辺野古の海
水郷水都全国会議は、1984年に琵琶湖で世界湖沼会議が開かれたのを契機に、それに関わった市民団体や研究者が翌年から継続して開催してきました。水資源・水環境と社会に関するさまざまな問題に対して、市民・行政・科学者それぞれの立場から議論し、情報の共有化を図ろうとしてきた活動です。ちなみに第19回の会議は1999年に沖縄県宮古島で開催されました。当時、宮古島では上水道の水源となる地下水の汚染が深刻な状況にありました。水郷水都全国会議の開催を通じて島民に地下水保全の重要性の認識がより浸透し、 その後の様々な保全活動を促進し、取水中止の危機を脱する成果を上げました。
第31回水郷水都全国会議は沖縄県名護市で開催いたします。現在沖縄本島では本島北部の東村高江の米軍ヘリパット建設、名護市辺野古の普天間代替基地の建設、中部沖縄市の泡瀬干潟埋め立てが水環境と地域の人々の暮らしにかかわる大きな問題となっています。この中で開発計画における環境アセスメントのあり方、地域の決定権、地域の持続的発展のあり方が大きく問われています。
大会テーマを「海は誰のものか」としました。是非、多くの全国の仲間が結集し、新基地建設や海浜埋め立ての問題を共有するとともにそれぞれの地域の水環境や地域の持続的発展に関して意見を交換し、未来を切り開いていく契機にしていきたいと思います。全国からのご参加をお待ちしております。
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テーマ 海は誰のものか
沖縄県は小さな島国で、環境の単位は実にコンパクトです。空から降った雨は森や畑を潤し、ミネラルを運んで川となります。狭い流域と短い流路の川は海に注いでいきます。川と海の出会うところではマングローブ林を形成し、その先のイノーと呼ばれる浅海域ではたくさんの生命を育み豊かな生態系を形成してきました。
沖縄本島北部の土地利用は「山原型土地利用」と呼ばれ、山、川、海の環境単位が実に明確です。そこは、沖縄本来の自然を良く残すとともに沖縄本島中南部の水がめとしても大きな役割がありますが、日本復帰後さまざまな地域振興策が取り入れられる中で環境問題も派生してきました。そして近年は普天間基地の代替と称して辺野古に新たな基地を建設するとの日米合意に対し、沖縄県民の多くがその計画に対し、反対行動を起こしています。また、本島中部の沖縄市では泡瀬干潟の埋め立てに対し市民が粘り強い反対運動を続けています。
第31回水郷水都全国会議のテーマを「海は誰のものか」とし、現在沖縄県で起こっている地域と環境の問題の大元を探りつつ、地域の未来を考えていきます。
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(大会宣言)
第31回水郷水都全国会議in沖縄・名護大会宣言
第31回水郷水都全国会議は、「海は誰のものか」を統一テーマに、2015年7月18日、19日に、沖縄県名護市で開催された。参加者数は延べ230人であった。
名護市は、市内東海岸の辺野古における、日本政府による米海兵隊新基地建設の強行と、それに対する市民による非暴力直接行動による抵抗が、今、大きな争点となっており、海の環境を守る営為の最前線となっている場所である。
名護大会は、1日目の午前中に、辺野古へのバス・エクスカーションでやんばるの森と海の豊かさを体感し、辺野古新基地建設反対の思いを共有した。1日目午
後は、稲嶺進・名護市長のご挨拶を頂き、その後、桜井国俊・沖縄大学名誉教授、保母武彦・島根大学名誉教授、および、島袋純・琉球大学教授による基調報告
がなされた。桜井教授は、辺野古アセスメントの問題点から、「海は誰のものか」という今大会の統一テーマを展開された。保母教授は、宍道湖・中海淡水化事
業を中止させた経験から、止めることが出来ないと考えられている日本の公共事業を、実際にどのように止めたかの教訓を共有された。島袋教授は、国際的に保
障されている人権としての自己決定権を、沖縄で確立することで、沖縄の自治権が日本国内でないがしろにされている状態を克服する方向性を示した。
2日目午前中には2つの分科会が持たれた。第1分科会は「環境アセスメントのあり方と地域の自己決定権」をテーマに、5人による報告が行われた。アセスの
形骸化が共通して指摘された一方、アセスにより地域の人々が自然の豊かさを認識する契機ともなっている経験も明らかになり、様々な実践の情報・経験・知見
の共有が有用であることも認識された。
第2分科会では、「地域の持続的発展への取り組み」を、エコツーリズム、有機農業、地域に伝わる知恵の継承等の観点から、沖縄の実践例4件と、バリでの事例の報告を題材に、その主体性、持続性、地域の範囲等をめぐって議論が展開された。
2日間の議論を通じて、森や海は、日米両政府のものではなく、地域に生きる人々のものであり、環境保全に基づいた持続可能な社会を構想し、創りだす権利
は、地域の人々が持つことを確認した。また、戦後70年目に、日本が平和主義の原則から大きく逸脱しようとする危機的状況の中、歴史上、全く異なる経験を
してきた沖縄で第31回大会が開催されたことは、戦争こそが最大の環境破壊である事実を、常に危機の最前線に立たされてきた地で、改めて認識する機会と
なった。沖縄の喫緊の課題は日本全体の問題であることを確認する集いであった。
2015年7月19日
第31回水郷水都全国会議in沖縄・名護大会 参加者一同 |
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2015年7月18日 辺野古エクスカーション 大浦湾 |
2015年7月18日エクスカーション ゲート前1周年集会 |
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2015年7月18日 開会 |
2015年7月18日 基調講演、シンポジウム |
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2015年7月18日 懇親会 |
2015年7月19日 全体会 |